- 取扱分野の概要
1 離婚・男女問題でよく発生する問題
離婚
夫婦関係を解消する場合,その夫婦に未成年のお子さんがいるかどうかによって,検討すべきことが変わります。
まずは,①そもそも,離婚をするかどうか(夫婦の一方が離婚を望んでいたとしても,相手方が離婚をしないと拒んでいる場合には,当然に離婚はできません),②(未成年のお子さんがいる場合)お子さんの親権者の指定を父母のどちらとするか,③(未成熟のお子さんがいる場合)お子さんの養育に関する費用(養育費)の支払いを,どのように行うか。金額をどうするか,④(未成年のお子さんがいる場合)お子さんと親権者ではなくなった父母との交流をどのように行っていくか,⑤夫婦関係の破綻について,責任がある側が,慰謝料を支払うのか,支払う場合,いくらをどうやって支払うのか,⑥夫婦が協力して築いてきた財産はどれか,それをどのように分けるのか,⑦厚生年金の年金分割を行うのか,などという問題が出てきます。
また,離婚協議を行っている間の生活費として,婚姻費用分担請求を行うことも考えられます。同請求を行うときの請求方法や金額の算出方法(算出のために必要となる資料)についても,弁護士が助言させていただくことができます。
未婚の男女問題
未婚の男女に関する問題として,比較してよく発生するのが,婚約の不当破棄や,婚姻していないにも関わらず,交際している当事者2人のうち,女性が交際男性の子どもを妊娠したが,交際男性が結婚はしないと言っている,といったものです。なお,いわゆる事実婚(婚姻届の提出はしていないものの,社会的に,法律婚をしている夫婦と同等の生活を送っている男女等)をしている方については,夫婦に準じるものとして,この項では扱いません。
婚姻届出を提出して,法的に夫婦となっている男女と違って,婚約状態というのは,何をもって婚約とするのか,というのが大変難しいものです。理屈としては,結婚の申し込みに対して,相手方がそれを承諾すれば,それで婚約は成立すると考えられていますが,社会の中では,すべてのカップルが,上記のような「申込み」と「承諾」を行うわけではありません。そのため,どのような行為があれば,もしくはどのような行為がなければ,「婚約」状態といえ,それを正当な理由がないにも関わらず「不当に」破棄されたのだ,といえるのか,という点については,弁護士の助言を受けると良いでしょう。
その他
法律婚はしていないけれども,長年,事実婚状態にあった,というカップルの関係解消について,一部,法律婚をしているカップルと同様の法的保護を受けられる場合があります。しかし,法律婚をしている夫婦とまったく同様,というわけにはいかない場合もございます。ご自身が望まれる法的保護が受けられるかどうかについても,弁護士にご相談いただければと思います。
2 問題の解決方法
⑴ 離婚について
ア 交渉
離婚に関する協議について,依頼者様の代理人として弁護士が,相手方との交渉にあたることもできます。調停手続などの裁判所を利用した手続に比べ,相手方が,弁護士からの連絡に応じてくれれば,スムーズに協議を進めることも可能です。交渉手続を弁護士に依頼するメリットとしては,弁護士を通して相手方に協議をするので,当事者同士であれば言いにくいことも明確に主張することができることが挙げられます。また,当事者のみでは,どのような情報を基準にして合意すればいいのかも分からないことも,弁護士から法的なアドバイスを受けながら,ご自身の言い分を整理することができることも挙げられます。
養育費の支払いや財産分与を理由とした金銭の支払などがある場合には,協議の結果を公正証書に残すことをお手伝いすることも可能です。その場合,必要に応じて,公正証書の作成を担当いただく公証人の先生との打合せもさせていただくことも可能です(ただし,公正証書を作成するための,公証人へ支払う手数料は,別途ご依頼者様にご負担いただきます)。
イ 調停手続
裁判所を利用した,離婚調停の手続で,依頼者様の代理人となることも可能です。調停手続を弁護士に依頼するメリットとしては,調停手続に弁護士が同行する,ということです。家庭裁判所における調停手続室内は,原則としてご本人のみ,あとは裁判所の許可を受けた方のみしか入室を許されませんが,代理人に選任された弁護士は,依頼者様と共に調停手続室への入室が可能です。また,調停の場で,調停委員会から聞かされる相手方の言い分に対して,依頼者様のご意向が反映されるように,法的主張のお手伝いを行います。
また,裁判所との連絡の窓口が,原則的に弁護士となるのも,調停手続において弁護士を依頼するメリットといえるでしょう。離婚調停は,原則的に裁判所の開庁時間,つまり平日日中に行われますが,それに付随する電話連絡も同様に,裁判所の開庁時間内に行われます。お仕事が終わり,自分の携帯電話を確認したところ,裁判所からの電話連絡があったため折り返したところ,既に,裁判所の閉庁時間を過ぎていた,というようなこともある可能性がございます。弁護士を依頼しておけば,裁判所からの電話連絡の窓口が,原則的に弁護士となりますので,裁判所からの連絡を聞き逃すこともありません。
ウ 訴訟手続
離婚事件について,訴訟手続を利用する場合,その代理人として弁護士を依頼することも可能です。
離婚事件では,調停前置主義(家事事件手続法第257条)がとられていますので,まずは,離婚調停を申し立てる必要があります。そして,調停において合意による解決(離婚)ができず,訴訟手続になった場合には,その代理人として弁護士を依頼することも可能です。
訴訟手続は,裁判官が法と証拠に基づいて,当事者夫婦に離婚を言い渡すべきか,または,離婚を言い渡すとすれば,離婚に付随する処分(親権者の指定やその他の処分)についての判断をするものですので,その手続においても,法的用語が多数使用されます。また,調停までと違い,原則,当事者の言い分は書面を作成の上,提出される必要もあります。そこで,法律に精通している弁護士が,依頼者様の代理人として,打合せの後に書面を作成した上で提出をし,さらに裁判期日の出頭をする,ということが,訴訟手続を弁護士に依頼されるメリットと言えるのではないかと思います。
なお,裁判所との連絡窓口が,原則的に弁護士になる,という,調停手続の項で述べたメリットは,訴訟手続の場合も同様です。