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遺言作成及び遺産分割について

  • 取扱分野の概要

1 遺言作成

「うちは、商売をしているわけでもないし、多額の財産なんてないから、遺言なんて作らなくても、子ども達が紛争になったりしない」

遺言作成のお話をさせていただくときに、よくお伺いするご意見です。しかし、遺言、つまりお亡くなりになった方の最後の意思、財産を分けるときの指標が形になって残されているかどうかは、遺されたご家族の納得の度合いに大きく影響する、と考える場面によく遭遇します。

「こういう気持ちでこの遺言をしました」という遺言者の方の気持ちが相続人の方に適切に伝わるような遺言の作成を心がけています。

遺言には,自筆証書,公正証書,秘密証書と種類がございます(民法967条)。

そして,それぞれに,法に定まった形式要件があり,その形式を満たさないと,せっかく作成した遺言が無効となることもございます。

また,形式は整っていたとしても,その遺言が効力をもつのは,遺言者(遺言を作成された方)が亡くなった後となります。そのため,遺言の内容が不明確であったとしても,その時点では確認のしようがなくなります。せっかく作成した遺言が,「自身の財産をどのように引き継いでほしいのか」に関する遺言者のご意思が,相続人の方に明確に伝わるために,本文の表現の仕方などについても,アドバイスさせていただきます。

2 遺産分割協議

⑴ 遺言がのこされていない,というような場合で,被相続人名義の不動産の所有権移転登記をする,被相続人名義の預貯金を解約するような場合に,相続人が複数いる場合には遺産分割協議をすることが必要です。

ただ,遺言がない場合の遺産分割協議では,被相続人(財産を残して亡くなられた人)が,自分の死後,自分の財産をどのように引き継がせたいと思っていたのか,という指標が明確に残っていない場合もあるため,どの財産を共同相続人中,誰が引き継ぐかでもめることがございます。

また,それまでの家族関係などを基礎として,特別受益(被相続人から生前に贈与を受けるなどして,他の相続人に比べてより財産を受け取っている人がいる場合に、その財産を計算上相続財産に含めて相続分を算定するという制度)や寄与分(被相続人の生前に被相続人の財産の維持または増加に関し、特別の貢献をした相続人がいる場合に、その貢献した相続人に対して,貢献の程度に応じて,相続分以上の財産を取得させる制度)の主張がなされることもあります。その計算方法は複雑となることもあるため,その点でも弁護士にご相談いただいた方が良いでしょう。

⑵ 遺産分割協議の方法

ア 交渉

遺産分割協議について,依頼者様の代理人として弁護士が,相手方との交渉にあたることができます。遺産分割調停手続などの裁判所を利用した手続に比べ,相手方が,弁護士からの連絡に応じてくれれば,スムーズに協議を進めることも可能です。交渉手続を弁護士に依頼するメリットとしては,弁護士を通して相手方に協議をするので,当事者同士であれば言いにくいことも明確に主張することができることが挙げられます。また,当事者のみでは,どのような情報を基準にして合意すればいいのかも分からないことも,弁護士から法的なアドバイスを受けながら,ご自身の言い分を整理することができることも挙げられます。

また,協議が整えば,遺産分割協議書まで作成し,依頼者様からのご希望があれば,不動産所有権登記の移転手続きや,被相続人名義の預貯金の解約などについてもお手伝いさせていただくこともございます。

イ 調停手続

裁判所を利用した,遺産分割調停の手続で,依頼者様の代理人となることも可能です。調停手続を弁護士に依頼するメリットとしては,調停手続に弁護士が同行する,ということです。家庭裁判所における調停手続室内は,原則としてご本人のみ,あとは裁判所の許可を受けた方のみしか入室を許されませんが,代理人に選任された弁護士は,依頼者様と共に調停手続室への入室が可能です。また,調停の場で,調停委員会から聞かされる相手方の言い分に対して,依頼者様のご意向が反映されるように,法的主張のお手伝いを行います。

また,裁判所との連絡の窓口が,原則的に弁護士となるのも,調停手続において弁護士を依頼するメリットといえるでしょう。遺産分割調停は,原則的に裁判所の開庁時間,つまり平日日中に行われますが,それに付随する電話連絡も同様に,裁判所の開庁時間内に行われます。お仕事が終わり,自分の携帯電話を確認したところ,裁判所からの電話連絡があったため折り返したところ,既に,裁判所の閉庁時間を過ぎていた,というようなこともある可能性がございます。弁護士を依頼しておけば,裁判所からの電話連絡の窓口が,原則的に弁護士となりますので,裁判所からの連絡を聞き逃すこともありません。

遺産分割調停は,当事者の合意が成立しなければ,審判と呼ばれる手続に移行いたします。その際の対応についても,調停手続から引き続き依頼をしていただくことも可能です。